「眠りたいのに眠れない」――その辛さ、一人で抱えていませんか
布団に入っても目が冴えてしまう、夜中に何度も目が覚める、朝起きても疲れが取れない――。こうした睡眠の悩みは、年齢や性別を問わず多くの方が経験しています。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、日本人の約5人に1人が睡眠に何らかの問題を抱えているとされています。しかし、「病院に行くほどではないかも」と我慢している方も少なくありません。
実は、薬局でも睡眠に関する相談ができることをご存じでしょうか。処方薬を受け取るだけでなく、市販の睡眠改善薬の選び方や生活習慣のアドバイスまで、薬剤師がお手伝いできることはたくさんあります。この記事では、いわせ薬局(高知県四万十市)の薬剤師が、不眠の原因や対策、薬局でできるサポートについてご紹介します。
不眠の主なタイプと原因
不眠の4つのタイプ
不眠にはタイプがあり、ご自身の症状がどれに当てはまるかを知ることが改善への第一歩です。
- 入眠困難:布団に入ってから30分〜1時間以上寝つけない
- 中途覚醒:夜中に2回以上目が覚め、そのあとなかなか眠れない
- 早朝覚醒:予定より2時間以上早く目が覚めて、そのあと眠れない
- 熟眠障害:十分な時間眠っているはずなのに疲れが取れず、日中に強い眠気がある
これらのタイプは単独で現れることもあれば、複数が同時に起こることもあります。
よくある原因
- ストレス・不安:仕事や人間関係の悩み、将来への不安が頭から離れない
- 生活習慣の乱れ:就寝時間が不規則、休日の「寝だめ」、寝る前のスマートフォン使用
- カフェイン・アルコール:コーヒーや緑茶のカフェインは就寝の6時間前でも影響する場合があります。アルコールは一見寝つきを良くしますが、睡眠の質を下げる可能性が指摘されています
- 環境要因:室温が高すぎる・低すぎる、騒音、光の漏れ、寝具が体に合っていない
- 身体の不調:慢性的な痛み、かゆみ、夜間頻尿、むずむず脚症候群、睡眠時無呼吸症候群など
- 服用中の薬の影響:一部の気管支拡張薬、ステロイド、抗パーキンソン病薬などには覚醒作用がある場合があります
- 加齢による変化:年齢とともに深い睡眠が減り、中途覚醒が増える傾向があります。これは自然な変化ですが、日常生活に支障がある場合は対策が必要です
まず試したい「睡眠衛生」の改善
薬に頼る前に、生活習慣の見直しで改善が期待できるケースも多くあります。厚生労働省が推奨する「睡眠衛生」の基本を押さえましょう。
- 毎日同じ時刻に起きる(休日も含めて。起床時刻を一定にすることで体内時計が整いやすくなります)
- 朝の光を浴びる:起床後15〜30分以内に日光を浴びると、体内時計のリセットに役立つとされています
- 適度な運動を習慣にする:夕方までのウォーキングや軽い運動は睡眠の質を高める可能性があります。ただし就寝直前の激しい運動は逆効果です
- 就寝2〜3時間前の入浴:ぬるめのお湯(38〜40℃)に15〜20分浸かることで深部体温が下がり、自然な眠気を誘いやすくなります
- 寝る前のカフェインを避ける:就寝4〜6時間前からはコーヒー・緑茶・エナジードリンクを控える
- スマートフォン・パソコンは就寝1時間前にオフ:ブルーライトがメラトニン(睡眠ホルモン)の分泌に影響する可能性があります
- 寝室の環境を整える:暗さ、静けさ、適切な室温(16〜26℃が目安)を確保。遮光カーテンや耳栓も有効です
- 寝酒をやめる:アルコールは入眠を早めますが、睡眠の後半で覚醒しやすくなり、全体的な睡眠の質が低下するとされています
薬局で購入できる睡眠改善薬について
生活習慣を見直しても改善が見られない場合、市販の睡眠改善薬を検討されることもあるかと思います。
ジフェンヒドラミン塩酸塩(抗ヒスタミン薬)
- 薬局で購入できる睡眠改善薬の多くはこの成分を主成分としています
- かぜ薬やアレルギー薬の「眠くなる副作用」を利用したもので、一時的な不眠症状の緩和に使用されます
- あくまで一時的な使用が前提であり、漫然と続けることは推奨されていません(目安は1〜2週間程度)
- 前立腺肥大症、緑内障のある方は使用できない場合があります
- 翌朝に眠気が残ることがあるため、車の運転や機械の操作にはご注意ください
漢方薬
- 酸棗仁湯(さんそうにんとう):体力が低下して疲れているのに眠れないタイプに
- 抑肝散(よくかんさん):イライラや神経の高ぶりが強いタイプに
- 加味帰脾湯(かみきひとう):不安感が強く、貧血気味のタイプに
- 漢方薬は体質(証)に合ったものを選ぶことが大切です。薬剤師にご相談ください
購入前に薬剤師に症状や服用中の薬をお伝えいただくことで、より安全で効果的なものをお選びいただけます。
薬剤師からのアドバイス
不眠が2週間以上続く場合や、日常生活に支障が出ている場合(仕事中の居眠り、集中力の著しい低下など)は、医療機関の受診をおすすめします。うつ病や睡眠時無呼吸症候群など、他の疾患が隠れている可能性もあるためです。
また、処方薬で睡眠薬を服用されている方は、自己判断で急にやめると反跳性不眠(かえって眠れなくなる現象)が起きることがあります。減薬・中止は必ず主治医と相談のうえ、段階的に進めてください。
お薬手帳をお持ちいただければ、服用中の薬と睡眠への影響を確認し、必要に応じて処方医への情報提供も行えます。
いわせ薬局での相談事例
四万十市にお住まいの60代女性から「寝つきが悪くて市販の睡眠改善薬を買いたい」とご相談がありました。お話を詳しく伺うと、夕食後にコーヒーを2杯飲む習慣があり、就寝前にもテレビをつけたまま横になっていたとのこと。まずはカフェインの摂取時間を夕方以降は控えることと、就寝前のルーティンの見直しをご提案しました。2週間後にご来局された際に「眠れるようになった」とお声をいただいています。
また、複数の処方薬を服用中の70代男性からの相談では、お薬手帳を確認したところ、服用中の薬の一つに覚醒作用がある可能性が見つかりました。処方医へ情報提供を行い、服薬タイミングの調整を検討いただくことになりました。いわせ薬局では、お薬のことだけでなく生活習慣も含めた総合的なアドバイスを心がけています。
まとめ
- 不眠には入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害の4つのタイプがある
- 原因はストレス・生活習慣・環境・体の不調・薬の影響などさまざま
- まずは睡眠衛生の改善(起床時間の固定、カフェイン制限、寝室環境の整備)から取り組む
- 市販の睡眠改善薬は一時的な使用が前提。漢方薬という選択肢も
- 2週間以上続く不眠は医療機関への受診を検討
- 薬の飲み合わせや減薬についても薬剤師がサポートします
眠れない夜のお悩みは、まずいわせ薬局にお気軽にご相談ください。四万十市の皆さまの健やかな毎日を、睡眠の面からもお支えします。
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